〇矯正歯科治療の需要
我が国においては、人口構成の少子高齢化が進み、家族構成の変化や人々の多様性な価値観によって、矯正歯科を受診する患者の不正咬合に変化がみられる。大学附属病院矯正歯科を受診した患者の不正咬合の割合をみると、重篤な骨格性要因による不正咬合の割合が減少し、下顎劣成長による上顎前突症例や叢生が増加している。不正咬合に対する患者の意識が高まり、骨格系要因による不正咬合ばかりではなく歯系要因による比較的軽度な不正咬合にも関心が広がっていることを示している。
現代の歯科治療においては、専門知識や技術を深化させながら歯の移動を積極的に治療に取り入れるようになった。これは歯科治療の本質が咬合の治療にあり、歯を確実に移動する矯正歯科治療の有効性が認められたことを示唆している。
さらに矯正歯科治療は、顎矯正手術の必要な顎変形症、口唇口蓋裂など多くの先天異常の治療に適用され現代の歯科治療のなかで重要な役割を果たしている。
〇現代社会と矯正歯科
・情報化社会と矯正歯科医療
情報のデジタル化は、即時化やコスト削減をもたらし、現代の生活に大きな影響を及ぼした。矯正歯科医療の情報は、インターネットの普及で都市と地方の差がほとんどなくなっている。さまさまな情報が提供されることによって矯正歯科治療への患者の要求は高度により複雑化している。こうした患者の価値観の変化は、矯正歯科治療の目標の設定に大きな影響を与えている。
・新しい医療技術と専門分化
現代の医療は、新材料や新技術の開発に伴う医療技術の急速な進歩によって専門分化し、インフォームドコンセント、セカンドオピニオンなどの新しい概念を生み出した。専門分化することでそれぞれの職種の役割が明確にされる一方、患者の全体像を把握しながら治療を進めることが重要となっている。
・矯正歯科患者の特徴
男性に比較して女性の患者が多い。女性は、男性に比較して顔の魅力に影響する口もとの審美性に関心が高いことが一つの背景となっている。
矯正歯科治療はほとんどが自費診療となるが、唇顎口蓋裂をはじめとするほとんどの先天異常に起因する不正咬合、顎矯正手術を適用する顎変形症、前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る)の矯正歯科治療には健康保険が適応される。また、申請し必要性が認められると指定医療機関における育成医療や厚生医療の給付が受けられる。
〇矯正歯科治療の必要性
・口腔の健康に影響を与えるリスクファクター
不正咬合の存在は、歯の咬耗やクラック、う蝕、歯肉炎や歯周病の誘因となったり、歯の逆被蓋によって歯肉退縮を起こしたりする。歯の埋伏は隣接歯の傾斜や咬合歯の挺出、顎機能異常を惹起させる。
矯正歯科治療による不正咬合の改善は、こうしたリスクファクターを取り除き口腔の健康を維持するとともに調和のとれた歯並びを得て、生涯にわたるQOLの向上に大きく寄与する。
・不正咬合のリスクファクター
1.著しく大きなオーバージェット…転倒による前歯の破折や脱臼、脱落のリスクが高い。
2.過蓋咬合…上顎前歯部口蓋粘膜の圧痕や退縮、歯根の露出が生じる。
3.埋伏歯…隣在歯の傾斜や対合歯の挺出によって咬合の異常が生じる。
4.機能性反対咬合…咬合性外傷によって下顎前歯唇側歯肉の退縮が生じる。
5.叢生…う蝕リスクや歯周病のリスクが高まる。
6.下顎偏位…顔面非対称を引き起こすリスクがある。
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